許可の手続きや期間、相続について
許可までにかかる期間
概ね申請の締切日から1か月から2か月かかる
市町村ごとに月一回ごとに締切日があり(徳島県では現時点では毎月10日)、農業委員会で審査され、その後翌月の農業会議への諮問を経て許可されることとなり、最低、1ヶ月半から2ヶ月程必要です。
ただし、一部市町村では総会(部会)が隔月開催であり、この場合は許可まで2ヶ月半から3ヶ月かかります。
もちろん農地の種類や市町村によって異なります。かなり早めに準備した方がいいですね。
市街化区域とは
市街化区域とは、「すでに市街地を形成している区域および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とあります。
すでに市街地として繁栄している場所や、公共施設などを建て今後市街地となっていく場所のことで、都市計画法に定められている都市計画区域のひとつです。
この市街化区域内で農地を転用する場合には、計画的な市街化を図り市街化を促進するという観点から、知事の許可は不要となっています。めんどくさくないですね。
ただし、農業委員会に届出はしなければなりません。(農地法第4条届出、農地法第5条届出)
農地法第4条 農地転用に際し所有権等権利の移転または設定がない場合(所有者自ら転用する)
つまり、自分以外の誰かに所有権を移転せず自身が所有者として農地を農地以外にする場合ですね。
相続や贈与などで得た農地を、耕作するのではなく自身が使用するために宅地にして駐車場や建物を建てる場合などです。
農地法第5条 農地転用に際し所有権の移転または賃借権等の設定を伴う場合(新たに権利を取得するものが転用する)
これは、農地の所有者ではないまたは使用収益する権利のない者が、農地を買い受け、または賃借し宅地に変えて駐車場として経営したり建物を建てる場合などです。
揃えるべき書類
土地の登記事項証明書
登記事項証明書とは、登記記録が書かれているもので「登記簿謄本」と呼ばれていました。
表題部・権利部とに分かれていて土地の筆ごとに記載がある登記記録を証明書として発行されています。
土地の所在と地番・地目・地積・所有者が記載されています。法務局で取得できます。
公図
公図とは、いわゆるシンプルな地図なのですが、住宅地図とは違い土地の境界線だけが入っていて、土地の形状と周りの土地との関連性を表示したものです。こちらも法務局で取得できます。
さらに、届出にかかる農地が賃貸借の目的となっている場合には、その賃貸借の解約等の都道府県知事等による許可があったことを証する書面(農地法第18条1項)が必要です。
許可をもらわない人には罰則が
相続によるこんなパターン
農地の転用や管理はしっかり規制されています。許可や届出といった事前手続きが行われていない農地は以外と多かったりするそうです。
お役所にお勤めの方ならご存じなのでしょうが、一般の方となるとなじみがないので、農地の所有者が皆農地法を知っているかというとそうではないと思います。(知っている方すみません汗)。
つまり、知らないうちに法を犯してしまっていることもあり得るのです。
よくあるパターンとして、実家を離れて年月が経ち、親が亡くなって農地を相続することになった。
遠方に住んでいるため農地を活用する目的が無く、管理もできないため放置していたところ、親戚がその農地を駐車場として貸してほしいと言ってきた。
手続きなどよく分からないしめんどくさくなり、親戚ということもあり駐車場として使用してもらっている。…つまり農地の転用許可をもらわずに無断で転用した、ということです。
無断転用には厳しい罰則あり
農地法は法律ですので、「知らなかった!」ではすまされません。
農地法第64条では、無断転用には「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」と、非常に厳しいものになっているためしっかり法律は遵守しましょう。
無断転用してしまった場合はすぐにご相談を!
無断転用してしまった場合は、ひとつの対処法として元の状態に戻すことです。
もちろん容易に戻すことができる場合とそうでない場合とがあります。
しかし先ほどのパターンですと親戚がもうすでに農地をアスファルトにしてしまっている場合に、元に戻すというのは費用もかかってきますし、親戚との関係性にも溝ができそうです。
そうなると事後的に農地転用の許可をとる、ということです。決して違法状態を放置しないでください。
しばらく問題が起きなかったとしても、やがてまたその農地を親族に相続し、その相続人が見た目が宅地なので家を建てる、または売買や賃貸しようとしたところ登記簿上「農地」だった…ということにもなれば収拾がつかないことにもなります。
大変なことになりかねないのですぐにご相談にお越しいただきです。